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矢来町(写真)町並み 昭和30年頃 ID 124

文学と神楽坂

 新宿歴史博物館「データベース 写真で見る新宿」ID 124は、昭和30年(1955)頃、矢来町を撮ったものです。

新宿歴史博物館「データベース 写真で見る新宿」ID 124 矢来町

 この写真は「新宿区史」(昭和30年)の挿画として使われたものです。小見出しは「山の手住宅地」「台地上の宅地としての利用例を示す。写真は矢来町」。本文は「牛込は本区の東北部にある高度20米から40米の台地である。牛込台地の特徴は小日向台或は関口台から観察できるとおり、小日向・関口の両台が神田上水が急崖となって臨むに対し、牛込台の北面は赤城社・筑土社附近を除いてこの低地に向ってゆるやかな傾斜をなしでいる。」
 これから、地元の方は……

 手がかりが少ないので、撮影場所を大胆に考えてみます。
 中央の地平線に早稲田大学の大隈講堂が見えます。その左の遠くに三角屋根の建物群が見えますが、これはID 12145「神楽坂上空(昭和35年)」を参考にすれば、早大の早稲田キャンパスでしょう。

 一方、ほぼ同時期のID 13029「赤城神社より遠望(昭和28年)」に比べると撮影位置は低く、一般的な2階屋の窓くらいから撮影しているようです。
 商店はなく道は舗装されていません。木造の平屋も多く、早稲田通りや牛込中央通りから入った場所でしょう。雪が残っているので季節は冬で、写真右が北だと思います。
 もう一度遠景に戻って、大隈講堂の右手前に四角い窓の並んだコンクリート造らしき大きな建物が見えます。屋上には切り文字看板があるようです。病院や工場のような建物でしょう。この建物はID 13029でも左端に写っているようです。

地理院地図 矢来町付近

 当時の地図から推測すると、大日本印刷の榎町印刷工場が有力候補になります。この仮定が正しければ、撮影場所は日本興業銀行矢来町社宅(旧・酒井家矢来屋敷)付近ではないでしょうか。