昼もにぎわう神楽坂 (平成19年)フジ系「拝啓、父上様」効果 高校生や女性急増

文学と神楽坂

「産経新聞」では「拝啓、父上様」について高校生や女性に大きな効果があると語っています。(この記事は2007年3月15日に掲載)

 かつて東京の花柳街として栄えた神楽坂に、このところ高校生や女性のグループが急増している。異変の“震源”は、神楽坂の老舗料亭を舞台にしたフジテレビ系の人情コメディー「拝啓、父上様」(木曜後10・00)。1月11日に放送が始まって以降、ロケで使われた路地や商店などに訪れる観光客は連日後を絶たず、ブームは、最終回(3月22日)放送後もしばらく続きそうだ。(安藤明子)
 2月末の平日の午後、神楽坂に出かけた記者が最寄りの地下鉄飯田橋駅で下車してすぐ目にしたのは中年女性グループの待ち合わせ風景。昨年末、「拝啓—」の会見取材で近くのホテルを訪れたときには見かけなかった光景だ。
 神楽坂通りの商店街に足を踏み入れると、老舗の甘味店は主婦客があふれ、中華料理店の店先ではまんじゅうを買い求める高校生の列。神楽坂のシンボル、毘沙門天境内の木には板前役でドラマ主演している二宮和也あてに「撮影が無事に終わりますように」「これからも応援します」とハートマーク付きで書いた絵馬がやたらと目につく。細く入り組んだ路地のあちこちに、一眼レフカメラや携帯電話のカメラで古き良き風景を撮る人がたたずむ…。
 坂が多く、石畳の路地や横丁が独特の風情を醸し出す神楽坂には、数年前から観光客が増えてきていたが、毘沙門天の目の前でせんべい店を営む神楽坂通り商店会会長、福井清一郎さんは「ドラマの第1回放送直後から人出が一気に増えた。ロケ用の器材が置いてあるだけですぐ人だかりができる。飲食店はブームの恩恵を受けて、どこもランチタイムの回転率が倍近くなっているといいます」と、ドラマ効果の大きさを認める。
 福井さんによれば、2月3日の節分には例年の倍以上の人が毘沙門天に殺到。また、商店会が毎年6月と11月に4万部ずつ発行している小冊子風のパンフレット「神楽坂」(無料)の11月分は1月中にほぼなくなった。「例年は3月くらいまでは残っている」というから、その効果に驚かされる。
 福井さんの店から少し先の路地で喫茶店を営む元神楽坂芸者の鈴木みどりさんもドラマ効果に感謝する1人。「午前中は常連客だけでしたが、ドラマが始まってからは10時開店と同時に熟年女性のグループやご夫婦のお客さんが次々と来られます。先日は大阪からきたという二宮さんのファンが『にの(二宮)がドラマで座った椅子(いす)はどれですか』と聞いて、そこで写真を撮っていきました」。売り上げはあっという間に1・5倍以上となり、昼食時間もなかなか取れないのが悩みだが、「ドラマが終わるまでだと思って頑張ります(笑い)」。
 飲食店を中心に活況を呈している神楽坂だが、地元では戸惑う人がいるのも事実。「神楽坂が神楽坂でなくなってしまった。ドラマが終われば元に戻ると思うけど…」
 福井さんも「最近は路地で昼寝をしている猫を見かけなくなった」と苦笑。今回、「拝啓—」のタイトルバック写真を担当した写真家、ヤマモトヨウコさんは神楽坂の魅力にとりつかれ、24年にわたって町の日常を写し続けてきたが、「どこの路地にも朝から人がいる。こんなことは初めて」と驚きを隠さない。花見シーズンが終わるまで猫の昼寝姿は見られない⁉
2007-03-15 ・ 東京朝刊・朝刊芸能


二宮和也 にのみや かずなり。生年は昭和58年6月17日。男性アイドルグループ・嵐のメンバー。愛称は「ニノ」。
ヤマモトヨウコ 写真家。青山学院大学文学部史学科考古学専攻卒業。国際線スチュワーデスから、1991年、フリーランスの写真家になる。神楽坂の芸者を撮影する。

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