神楽坂|め乃惣

文学と神楽坂

 紅小路には小割烹「め()(そう)」が入っています。「め乃惣」は『婦系図』で出てくる魚屋さんです。

 ここでは、実際に泉鏡花氏と、魚屋から料亭「うを惣」を経営した父との関係は強く、この「うを惣」を継ぐのは長男で、この割烹「め乃惣」は次男。また「弥生」を三男がやっていたのですが、ここは終了です。

 場所はここ

め乃惣
 また「拝啓、父上様」の1回目で田原一平が中川時夫に電話をかけた路地はここです。

「パティオ」・角
  走ってくる一平。
  だが、テキはいない。
  「め乃惣」の看板。
  一平、舌打ちしケイタイを出してボタンを押す。
一平「何だよお前、どこにいるンだよ! 云ったとこにお前いないじゃないか! エ?――天孝?――千月ちげつ?――何でお前そんなとこ行っちゃったの。そこにいろ! いいか! 動くなよ!」
  ケイタイ切って又走る。


め乃惣

 ちなみに『婦系図』で出てくる「め乃惣」は、「め組の惣助」から「め乃惣」になりました。

 ここへ、台所と居間の隔てを開け、茶菓子を運んで、二階から下りたお源という、小柄こがらい島田の女中が、逆上のぼせたような顔色かおつきで、
「奥様、魚屋が参りました。」
「大きな声をおしでないよ。」
とお蔦は振向いて低声こごえたしなめ、お源が背後うしろから通るように、身を開きながら、
「聞こえるじゃないか。」
目配せをすると、お源は莞爾にっこりして俯向うつむいたが、ほんのりあかくした顔を勝手口から外へ出して路地のうちを目迎える。
奥様おくさんは?」
とその顔へ、打着ぶつけるように声を懸けた。またこれがその(おう。)の調子で響いたので、お源が気をんで、手を振っておさえた処へ、盤台はんだいを肩にぬいと立った魚屋は、渾名あだなを(組)ととなえる、名代の芝ッ

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