改造社の『日本地理大系』(1929年)で「昭和5年の神楽坂通り」の写真です。問題はどこを撮ったの?
絵の右側にはは「上田屋履物店」がはっきりと見えます。その次に看板の「濱田」とのぼり旗の「〇田メリヤス店」。さらに「岡澤菓子店」も見えます。のぼり旗や垂れ幕などが異常に無数に立っています。メリヤス店の直下には何か屋台もあるようです。
新宿区郷土研究会『神楽坂界隈』(平成9年)の岡崎公一氏の「神楽坂と縁日市」「神楽坂の商店変遷と昭和初期の縁日図」を見ると、右手に「上田屋履物」と「浜田メリヤス店」「岡沢菓子店」が見えます。ここでしょう。
でも。現在と昭和5年の写真を比べると、下の赤の建物は何でしょう?
新宿区教育委員会の『地図で見る新宿区の移り変わり』(昭和57年)の昭和5年と比べて見ると、こう見えたのでしょうか? それともアーチ状の屋根が一見建物に見えたのでしょうか? よくわかりません。まだ疑問を残したまま、仕方なく、終わりにします。(と書きましたが、わかりました!!! 図の下に)
これは緑門(グリーンアーチ)でした。嘉村礒多氏の「神楽坂の散歩」(昭和7年。再版は南雲堂桜楓社、昭和40年)で……
いつの間にか年末が近づいた。肴町の電車線路で隔てた手前の通寺町との歳の市聯合売出しの装飾をこらした緑門が、二三日前に出来上つた。が、去年の暮のやうに幔幕を引きめぐらした両側の店々の軒から軒へと絲瓜棚のやうに五色の電燈が縦横に架やられるやうな贅沢な飾りは、世上が不景気のせゐからか、今年はまだ見られない。 |
肴町 現在は神楽坂五丁目に。神楽坂三・四丁目の西側の地域。
電車線路 現在は大久保通りに。
通寺町 現在は神楽坂六丁目に。神楽坂五丁目の西側の地域。
歳の市 としのいち。年末に立つ市。年神祭の用具や正月用の飾物,雑貨,衣類,海産物の類を売る市場。
緑門 祝賀の際などに建てる、常緑樹の葉で包んだ弓形の門。グリーンアーチ。
幔幕 まんまく。縦にだんだらの筋のある幕
絲瓜棚 へちまだな。糸瓜棚。庭園の棚や柵に栽植する。へちまの幼果は食用にする。
世上 せじょう。世の中。世間
最後にまとめると……。ただし「菱屋糸店」ではなく「ひしや糸〇店」となります。〇は不明ですが、「分店」でいいかも。また、猫のお面がたくさんありますが、「吾輩は猫である」のイベントだと面白い、と地元の方。
2016年8月28日→2020年3月4日