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市区改正で作られた飯田橋の五叉路は今も健在です。計画図を見ると、現在の神楽坂下交差点も五叉路にする予定でした。
東京市区改正全図（明治23年）神楽坂下 青丸部が五叉路
図の赤い実線は、市区改正設計で最も幅の狭い第五等道路を示します。これについて市区改正委員会では以下の議論がありました。
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明治21年（1888年）10月15日開催
第７号会議（東京市区改正委員会議事録 第１巻）
委員長 まず大体を決し、支線は実施に臨み斟酌するの精神をもって、四等（以上）の主なる路線のみを議定せり。（条例に）五等道路をいちいち掲ぐるとせば、その調査容易なるまじ。
６番委員 焼失（火事）を待って改正なすとしてはいかが。
19番委員 堅牢の家屋を建設すれば改正の期なきに至らん。ことごとく決定し置くことにしたし。
15番委員 （専門の）委員を設け調査するとしては。
17番委員 五等道路ごときは市民の意見にまかすとして可ならん。
４番委員 委員の手数は省きうるも、東京府庁は道路に着手するを得ざるべし。
13番委員 路線を定めずしたらば、庶民は家屋建築、地所売買に苦しむなるべし。
（新字・新かなで適宜省略）
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火事を待って道路計画を決めるというのは、大火の多かった江戸の町の歴史を思わせる意見です。採決によって専門委員を設ける案を採用し、神楽坂通りの迂回を提案した１番委員、新見附部分の新道を提案した19番委員らが選ばれました。
さて神楽坂下に戻って、明治22年、市区改正で以下の道が指定されました。
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第五等道路
第八十一 牛込神楽坂下より若宮町・南町を経て、納戸町に至るの路線。
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具体的には神楽坂下から小栗横丁－若宮町の新坂－南町の通りを結び、幅６間（10.8m）に広げるものです。
五千分一東京図測量原図（明治16年）神楽坂付近
やや強引に見えます。何より小栗横丁と新坂の間には高いガケがあり、地図の等高線が狭くなっています。ここに道を通すのは大規模な工事になるでしょう。第五等道路の指定にあたり、十分な調査がされなかったことを思わせます。
明治36年、市区改正が大幅に縮小された新計画で第八十一は脱落し、神楽坂下は五叉路になりませんでした。小栗横丁と新坂の間は現在、若宮神社側を迂回して上る道になっています。
東京市区改正は明治政府の都市計画事業です。委員会の議事録は国立国会図書館デジタルコレクションで公開しています。ただし、第五等道路の個別の議論は残っていないようです。
