新宿歴史博物館「データベース 写真で見る新宿」ID 14154は、筑土八幡神社の石造鳥居の陰から津久戸町の旧東京厚生年金病院(現在はJCHO 東京新宿メディカルセンター)を撮った写真です。撮影時期は「昭和44年頃か」と不正確です。
鳥居は石段の参道の途中にあり、区内最古として新宿区登録有形文化財に指定されています。
鳥居の額束に(見えないが)「筑土八幡神社」が刻印されていて、柱の銘にはコントラストを変えると奉納者は「享保十一丙午歳十一月十五日 従四位下行(豊)前守◯治真人」 と読めます。写真は古い鳥居と現代的な病院建築の対比を狙ったのかも知れません。鳥居のすぐ向こうの金網は、区が昭和41年9月16日に開設した「こどもの遊び場」(ID 7451)を囲むものです。
東京厚生年金病院の旧本館は、武道館や京都タワーを手がけた建築家の山田守氏の代表作のひとつで、昭和28年(1953年)の芸術選奨で文部大臣賞を受賞しました。
「Y字型のみるからに明るいモダンな病院」(石田竜次郎・和歌森太郎共書「県別・写真・観光日本案内 東京都」修道社、昭和36年)と評されました。屋上の丸い建物は展望室で、その下はらせんのスロープになっています。
沿革を見ると
時期 | 内容 | 病床数 |
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昭和27年10月 | 病院開設 | |
昭和27年11月 | 整形外科 外科 内科 診療開始 | 66床 |
昭和28年10月 | 南棟4階58床増設 | 124床 |
昭和28年10月 | 西棟3、4、5階改造 | 319床 |
昭和32年9月 | 別館増築290床増床 | 普通510床 伝染6床 |
昭和33年4月 | 高等看護学院開院 | |
昭和40年10月 | 別館神経科病棟16床増床。伝染6床廃止 | 526床 |
その後、この旧館はY字の一辺ごとに解体・建て直しする難工事によって建て替えられました。沿革に基づけば13年間を要しました。
時期 | 内容 | 病棟 |
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昭和62年6月 | 南棟解体 | |
平成元年10月 | A棟竣工(本館) | 地下4階地上8階 |
平成2年3月 | 西棟解体 | |
平成5年10月 | B棟竣工(本館) | 地下4階地上8階 |
平成10年1月 | 東棟解体 | |
平成12年3月 | 外来棟竣工 | 地下4階地上1階 |
新本館も設計は山田守建築事務所で、屋上に丸い展望室があります。