かくれんぼ横丁はもっとも古い建物が残っている路地裏です。ただし第2次世界大戦で、ことごとく灰になり、すべてが戦後の建物です。しかし、戦後の花街として昭和30年代には繁栄しました。
かくれんぼ横丁のほどんどは料亭・待合・芸妓屋として残っておらず、割烹、料理店、懐石料理に変わっています。ここで06年9月、日本建築学会で水井氏が「花街建築」の外観的要素として20項目を挙げ、うち料亭・待合は14項目、芸妓屋は9項目が重要だと考えました。(水井七奈子「遺構調査に基づいた花街建築に関する研究(その1)」日本建築学会大会学術講演梗概集。2006)
○が重要な項目です。
項目 | 料亭・待合 | 芸妓屋 |
---|---|---|
庭・庭木あり | 〇 | 〇 |
庭に松・竹・梅のいずれかあり | 〇 | |
石畳か灯篭を配置 | 〇 | |
黒塀・木塀か刳貫があるモルタル塀 | 〇 | |
玄関や門構えが重厚 | 〇 | 〇 |
柱材が細い(3-4寸角) | ||
格子が開口部に設置 | ||
玄関戸上部や外壁等に扇や松の型の刳貫や竹材等の細工あり | 〇 | 〇 |
2階に縁がある場合、擬宝珠が付くか装飾的な浮彫がある[擬宝珠付きは1棟のみ] | 〇 | 〇 |
戸袋が装飾的 | 〇 | 〇 |
照明に装飾か屋号入りの照明 | 〇 | 〇 |
装飾的な青銅製の樋 | 〇 | |
開ロ部に深い庇[木製庇] | ||
前項に加えて庇裏が装飾的 | ||
階高が高いか総2階[2階建てがほとんど] | 〇 | 〇 |
建具が装飾的 | 〇 | 〇 |
その他、装飾的な細工あり | 〇 | 〇 |
屋根形状が入母屋や錣葺[切妻屋根がほとんど] | 〇 | |
軒の反り | ||
屋根のむくり(屋根を凸状に反らす) |
古い花街建築(大震災直後から昭和初期)ほど、より多くの装飾があったといいます。神楽坂は残った家屋がほぼない地域です。したがって戦後にできた新しい建物で、残念ながら装飾は少なくなっています。
ここは普通の建物ですが、それでも一番きれいです。左手には黒塀があり、奥の右手では路地と玄関の間に塀で囲まれた木戸を作っています。
青銅製の樋と入母屋造がはっきりと見えます。
格子状の意匠があり、左には黒塀があり…
玄関前の屋号の照明、戸の内部に竹材の細工が見られます。また入口は木戸からさらに奥です。山路は今は一軒家のホテルです。
ちなみに「拝啓、父上様」で第1話でこの(正確には仲通りの)料亭「千月」とかくれんぼ横丁がでてきました。
仲通り
を走って「千月」の前に立つ。
見廻すがテキがいない。
路地へとびこむ。
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神楽坂の通りと坂に戻る場合は…