神樂坂にて|池永治雄 コメントを残す 文学と神楽坂 昭和4年、池永治雄氏の『空の感情 : 詩集』が出ました。 神樂坂にて 秋をわたつてゆく女の瞳を、 神樂坂の坂道でみたが 着物の裾からのぞく、 血にそまつた蛇を、俺は見ることは出來なかつた。 牛込館のくらがりのなかで、 フラフラ踊がはじまり、 女の足が十字にくまれても、 俺は、はかないおもひで、 白いスクリーンに、 みいつてゐなければならない。 お菓子を喰べて、お茶のんで、 うすぐらい下宿にかへるとしやう。 牛込館は藁店にある映画館でした。 詩 石垣りん 山之口貘 小野十三郎 神楽坂の唄 池永治雄