文学と神楽坂
野田宇太郎氏の「アルバム 東京文学散歩」(創元社、1954年)の一部で、神楽坂3丁目を扱っています。撮影の方向は、坂上から坂下。街灯は簡素な電灯で、昭和28年頃から始まった、鈴蘭の花をかたどった鈴蘭灯ではありません。
写真ではベストの人がいますので、夏ではなく、春か秋でしょう。
歩道と車道の高さはほぼ同じようにみえます。
「アルバム 東京文学散歩」の元は毎日新聞で、氏は昭和27年に「東京文学散歩」を連載し、同時に初めてカメラを扱ったと書いています。おそらくこの写真も昭和27年に撮ったものでしょう。
神楽坂3丁目(坂上→坂下) |
- 菱屋の庇だけが見える
- 万平のみや。吊り看板の「鮨」
- 「ピアノ」。福島ピアノ
- 都市製図社「火災保険特殊地図」(昭和27年)では「毛糸S」
- 巨大な半円の「パーマネント」。マーサー美容院。新宿歴史博物館ID 30(昭和27年頃)にも見られるが、同じID 10(昭和36-39年)では消えている。
- 神楽坂仲通りに
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- 龍公亭(黒い建物)
- 店舗。看板「松〇〇」
- 上に「パー」。正面に「〇 Beauty Salon」。ビデパーマ
- 山本薬局(消炎鎮痛薬「サロメチール」)
- 神楽坂仲坂へ
- 太陽堂だと思う。新宿歴史博物館のID 30では太陽堂だと大きく書いている。
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地元の方にはまだ何点か、気がついていました。
左から……
- ピアノの看板の向こうに「マツタ●」の看板が見えます。地図の「毛糸S」は後の「あざみ」と思いますが、軒を貸すような形で「竹谷電気」があったのでは。
- 電柱広告で、黒地に白文字の「龍公亭」かも。
- 電柱広告「大久保」。仲通りです。
- 飯田橋駅西口の屋根が電柱看板で隠れています。しかし電柱の反対側にも、屋根を遮るものがある。これは「メトロ映画」ですね。S27開業。
- 看板「■仁丹」。言われれば分かります。
- 建屋の側面にうっすらと「○○もの」。「せともの」太陽堂です。
- 本当にID:30とそっくりですが、この写真の方が少し早そうですね。
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「仁丹」は新宿歴史博物館のID 30の拡大図でもっとよく出てきます。
ID 30の拡大図
都市製図社「火災保険特殊地図」(昭和27年)