平成10年(1998年)『ここは牛込、神楽坂』第13号の特集「神楽坂を歩く」では
井上 じゃ、大久保通りをこちらに戻って、読売新聞の販売所がある横丁を通る。
カギ形だから『クランク坂』
坂崎 非常に入り組んだ地形でね。階段があったり、坂があったりして。
井上 ふつうの人はまず入ってこない。
林 カギ形に入り組んでいるから『クランク坂』。交差してないから卍坂とはいえないし。
坂崎 いいネーミングだなぁ。
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読売新聞の販売所 神楽坂5丁目38にあり、2017年からは「Le petit Bistro RACLER」に変わり、さらに焼き鳥屋「酉刻」に変わりました。
なお、クランク (crank、道路)とは「直角の狭いカーブが二つ交互に繋がっている道路のこと」(ウィキペディア)。カギ形(鉤形・鍵形)とは先端が直角に曲がった形。
この坂も微妙にS字に曲がっていますが、上の道路がクランク状に曲がっているからこの名前が付いたものでしょう。
途中で出てくる「神楽坂レトロなホテル」は2019年3月にできたものです。
松本泰生氏の「東京の階段」(日本文芸社、平成19年)では
神楽坂・小さなS字階段
所在地/新宿区神楽坂4-1
●規模:16段 ●幅員:1.4~1.9m ●高低差:2.5m ●長さ:約6m ●蹴上:14~16cm ●踏み面:35~38cm● 傾斜:22° 評価
●疲労感★☆☆☆☆ ●景 観★★★☆☆ ●スリル★☆☆☆☆ ●立 地★★★☆☆ 神楽坂の路地や料亭街がある地区の北側で、北向きに下りる小さな階段。以前は階段を下りると傍らに料亭があり、その先も木造家屋が建ち並ぶ路地空間だった。下から見ると料亭の玄関の奥に隠れるように階段があり、それが奥行き感のある小路のある神楽坂という街らしく、絵になる景色となっていた。だが90年代に木造家屋群は解体されて超高層マンションと小公園になり、さらに最近、階段下の料理屋もなくなって、ここは単なる小さなS字階段になってしまった。きれいにカーブしたコンクリート擁壁は、もちろん今でも印象的なのだが、以前の周辺景観が素晴らしかっただけに、現在の姿は残念である。
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